第2回猫カフェ・GSRDオフ会 〜貸切で猫と遊ぼう〜
こんにちは。猫カフェ・GSRDオフ会主催の文野です。
今回は第2回のレポートを書きたいと思います。
猫カフェオフって? GSRDって? 参加したいけどどんな感じか分からない などなど。そんな疑問解消の一助となれば幸いです。
簡単に言葉の説明を先にしておきます。
GSRD : Gender, Sexual, and Romantic Diversity。性別、性愛、恋愛に関する多様性。
より詳しい説明は『こちらの記事』にまとめたので、気になる方はお読みください。
第2回猫カフェ・GSRDオフ会は2016年4月30日開催でした。
その時のツイプラはこちら↓
【4月30日決定!】第2回セクマイ(GSRM)フレンドリーオフ会 in 猫カフェ - TwiPla
GSRMというのは、MはMinority、つまりGSRDより更にマイノリティに絞った表現です。第2回もマイノリティをメインとした表記をしていますが、所謂マジョリティも含めて広く参加できるように、という方針は変えていません。
場所は高田馬場にある猫カフェ『にゃんこと』。
人懐っこい猫ばかりで、入店するや否やわらわら集まってきてくれて「て、天国…」という感じでした。もふもふ…。
(なお今回は大人数のオフ会の主催ということもあって店内の写真はあまり撮る余裕がありませんでした…)
今回は参加者14人で、3時間猫カフェを貸し切って行いました。
参加人数が多いこともあって、初対面の方の名前を一発で覚えるのは難しいと思い、オフ会の最初にこちらが用意した名札を全員に書いてもらいました。
参考までに私の名札です。下段に貼ってある画像はその時のTwitterアイコンです。分かりやすいようにと全員分用意しました(名札に貼るのは任意)。
その後は簡単な自己紹介をしてフリータイム、という前回と同じ流れです。
自己紹介は前回と変わらず、
●名前(Twitterネーム、ハンドルネーム可)
●セクシャリティ・ジェンダー(任意)
●簡単な一言(好きなもの、なぜこのオフ会に参加したのか、など自由項目)
といった内容です。
第1回目よりも参加セクシャリティ・ジェンダーに幅があってちょっと(かなり)嬉しかったです。
5月8日と9日に東京レインボープライド(TRP)という、パレードやフェスを行うGSRM系の大きなイベントがあることもあって、それに関する話題が出たりもしました。
しかし、今回も全員で顔を突き合わせて最初から最後までGSRDについてを話し込む、ということはしませんでした。「セクシャリティやジェンダーの話をしなかったとしても落ち着けたり楽しいオフ会(話す内容は任意)」を目指すというスタンスは変わりません。
猫たちとの距離を縮めてもらおうと、猫おやつタイムも設けてみました。急激な猫モテが味わえます。おやつ強い。
それとお店の方のご好意で、猫たちのお昼ご飯のお世話を手伝わせていただけました。ちょうど猫の数と参加者の数が同じだったので、1人1匹ずつを担当して、それぞれの猫に決められたご飯を猫が食べ終わるまで見守る、というお仕事。私の担当は写真中央、スマイリーの服を着た子でした。
早々に食べ終わって他の猫のご飯を横取りしに行く子や、反対に中々食べてくれない子など様々で、猫の世話って(当然だけど)大変だなぁと。ダイエット用メニューだったり、病気治療用メニューだったり、また成猫と子猫でも必須カロリーが違ったりするので、猫たちの健康上他の猫のご飯を食べることは阻止しないといけないそうです。実際、食いしん坊な子から手で軽く壁を作ってご飯皿を守るなどして、参加者みんなで任務完遂に努めました(笑)
オーナーさん貴重な体験ありがとうございました(*´ω`*)
また、人数多くて時間持て余したらどうしようと危惧した主催(私)により、何冊か個人的オススメ図書の持ち寄りもありました。事前にTwitterで持って行くことを呟いたところ他の参加者の方も持ち寄ってくださり、猫カフェの片隅でプチ読書会にもなりました。
結構持ち寄るのも読むのも楽しかったので、大人数の時はまた持ち寄るか、猫カフェ読書会オフをやるのもいいかなーと思っています。
オフ会後はまたTwitterのグループDMを共有アルバム代わりに猫写真を載せていったり、食事やショッピングやカラオケなどそれぞれ自由に分かれて二次会・三次会に行ったりなどしました。(毎回私が主催するのはオフ会までで、そのあとは参加者の自由に任せています)
以上、簡単な第2回猫カフェ・GSRDオフ会レポートでした。
オフ会告知Twitterアカウント( @Fumino_off )
GSRDって何だ? 簡単なまとめとオススメ記事・書籍
こんにちは。猫カフェ・GSRDオフ会主催の文野です。
今回はオフ会レポートではなく、私がTwitter、ツイプラ、ブログでぽんぽん使っている言葉(GSRDとか、Aセクシャルとか、セクシュアリティとか、ジェンダーとかとか)を、「GSRD」という言葉を主軸として、まとめて解説しようと思います。
あらかじめ断っておきますが、ここで書かれていることはもちろん完全な情報ではありません。あくまでも私が個人的に見聞きした(調べた)情報、そして自身の解釈です。少しでも書かれている事が気になった方は、更に既存の書籍や他の方が書かれた記事などにもあたることをお勧めします(記事の途中や最後にもまとめてあります)。
そしてそして、「簡単な」まとめとは題しましたが、GSRDとは到底「手短に」纏まるようなものではありませんので、比較的長めの記事となっております。ご了承ください。(でもほとんど大事です…!)
2016.11.13 指摘を受けて全体的に語句等の修正、構成の見直しを行いました。ご指摘ありがとうございます。
見出し一覧
●そもそもGSRDとは
●Gender・Sexual・Romanticに関する多様性って何?
●GSRDの中から、この記事で扱うもの
●性自認・性的指向・恋愛的指向は別軸と捉える
●Gender 性別に関する多様性 ‐ 性自認について
●Sexual,Romantic 性愛と恋愛に関する多様性 ‐ 性的指向、恋愛的指向について
●Romantic 恋愛に関する多様性 ‐パートナーシップの形について
●まとめ、オススメ記事・書籍一覧
そもそもGSRDとは
Gender, Sexual, and Romantic Diversity の略。
性別、性愛、恋愛に関する多様性、という意味です。
少し前からLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)という、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)に関した言葉がメディアで流れるようになりましたね。言葉・概念の系統としてはそれと同じようなものになります。
しかしGSRDとは、LGBTよりも更に性別・性愛対象などなどを広くとらえた言葉です。LGBTだと漏れてしまうセクシュアリティ(性的指向)やジェンダー・アイデンティティ(性自認)、そして更にそれだけでは含みきれない細かな部分なども含めることができます。
そして、「Diversity(多様性)」という形にすることで、マイノリティに限らずいわゆるマジョリティとされている人も含めた言い方にもなります。
また、その多様性(Diversity)の中から、現在社会的にマイノリティとされている人を抜き出して表した言葉として「GSRM : Gender, Sexual, and Romantic Minority (性別、性愛、恋愛に関する(社会的)少数派)」というものがあります。
これはセクシュアル・マイノリティと大体同じような意味になります。
先述した「LGBT」単体でセクシュアル・マイノリティ全般と同義とする、という使い方をされることもしばしばありますが、個人的には含む範囲が限定的すぎて零れ落ちるものが多く、無理があるのではと思っているので、それならばGSRMと表記する方が好きですね。
個人的な使い分けとしては、GSRDは、多様性がある且つそれらは全て対等であると表したい場合、また、GSRの多様性がある場であること且ついわゆるマジョリティとされる側とマイノリティを特別分けないことを表す場合などに使っています。
GSRMは、マイノリティが強いられている社会的不自由を訴える場合、自身が属する属性の総称として、などで使っています。
なので、オフ会ではGSRの多様性がある且つ別段いわゆるマジョリティ/マイノリティを分けないGSRDを採用しています。
余談ですが、GSRDは多様性という状態なので「私はGSRDだ」という言い方は出来ませんが、GSRMは(社会的)少数派という属性なので「私はGSRMだ」と言うことが出来ます。
Gender・Sexual・Romanticに関する多様性って何?
更にG(ender)・S(exual)・R(omantic)のD(iversity)をそれぞれ細かく見ていきましょう。
まず、そもそもGender(性別)・Sexual(性愛)・Romantic(恋愛)に関する多様性には何が含まれるのか。
それぞれをざっくり説明すると、
性別に関する多様性(gender diversity) : 性自認(生まれた際の診断性別とは別に、自身をどの性別と認識するか)、性表現(外見や装いなど)、等
性愛に関する多様性(sexual diversity) : 性的指向(性的な感情を伴う愛(性愛)がどの人に向くか)、性愛の度合い・頻度、接触欲求に関すること、等
恋愛に関する多様性(romantic diversity) : 恋愛的指向(恋愛感情がどの人に向くか)、恋愛感情の度合い・頻度、接触欲求に関すること、パートナーシップの形(関係性を同時に結ぶ数)、等
となります。(参考 : GSRMとは 注*英語です)
以上は多様性に含まれる中の一例であり、各多様性が含む範囲はもっと広いです。
これを見て「感情の度合いとか接触欲求とか、そんな細かいところまで決めるの?」「そんなの人それぞれじゃない?」等々と思った方もいるかと思います。
そうなんです。多様性とは、突き詰めれば「人それぞれ」に落ち着きます。
そして著者自身も最終的には「人それぞれ」であると思っています。
しかし、黙っていれば『性別は男性と女性のみ』『女性が愛するのは男性、男性が愛するのは女性』『同時に付き合うのは1人』『恋人と性関係を持たないのはありえない』等々と判断され、『それ以外は珍しい例外』とされてしまう現代において、
そしてその『例外』を『異端』と捉え、その結果多くの社会的問題を抱えている現代において、
多様性の中身を示す前に「人それぞれ」と言ってしまうには、あまりにもその想定から零れ落ち、無かったことにされてしまう多様性が多いのではないかと考えています。
まず「どんな多様性が存在し得るのか」という前提を周知・認識した上で、「そこには多様性があり、それは人それぞれであり、かつ対等なもの(差別される謂れはないもの)である」ということが認識されるのかなと思います。
そして今はまだ、その「どんな多様性が存在し得るのか」を提示・考えていく段階、それに関する言葉・概念(GSRDだったりLGBTだったり)などを広めていく必要がある段階なのだとも思っています。
そのために、わざわざ一度「GSRD」という多様性がある、ということを提示・使用しているのです。
GSRDの中から、この記事で扱うもの
さて、そんな幅広い、最終的には「人それぞれ」となる多様性を、端から端まで(そもそもそんな『端』が存在するのかは分かりませんが)この記事で全て拾い上げ、解説するのは不可能に近いです。というか不可能です。
そして、GSRDという言葉・概念の簡単な概要を目的としたこの記事において、それを行うのは本意ではありません。
なので、ここからはGender(性別)・Sexual(性愛)・Romantic(恋愛)に関する多様性の中から、現在 社会的マイノリティ(GSRM)とされて問題となっている部分、かつ、その中でも著者が「まずはこれさえ抑えれば理解がしやすい!」と思う「基本形」をピックアップして解説していこうと思います。
その扱う「基本形」とは、
性別に関する多様性(gender diversity)の中の「性自認(Gender identity)」
性愛に関する多様性(sexual diversity)の中の「性的指向(Sexual orientation)」
恋愛に関する多様性(romantic diversity)の中の「恋愛的指向(Romantic orientation)」と「パートナーシップの形」
です。
「性自認」の項目では『そもそも性別って男女だけなの?』『トランスジェンダーって?』という話を、
「性的指向」と「恋愛的指向」の項目では『そもそもこの2つの指向の違いって?』『どんな種類があるの?』という話を、
「パートナーシップの形」の項目では『交際関係を結ぶのって必ず同時に1人なの?』という話を、
メインとして書いていきたいと思います。
性自認・性的指向・恋愛的指向は別軸と捉える
それでは先ほどの「基本形」を個別に見ていきましょう……と、言いたいところなのですが、一旦、GSRD(及びGSRM)における「よくある認識の混同」に関することを述べておきたいと思います。結構重要なことなので。
今回の記事でピックアップするのは「性自認・性的指向・恋愛的指向・パートナーシップの形」という話をしました。
その中の「性自認・性的指向・恋愛的指向」を別軸と捉えるとはどういう事か。
具体例を挙げるなら、「性自認が男性だからといって、必ずしも女性に性愛または恋愛感情を抱くという訳ではない」という事です。
性自認が男性で、性愛対象も恋愛対象も女性の人もいます。
同じく性自認は男性で、性愛対象・恋愛対象共に男性だったり、男性と女性だったり。または性愛対象も恋愛対象もどの人へも向かなかったり、という人もいます。
もちろんこの他にも様々あります。
つまり、性自認と性愛対象と恋愛対象にはそれぞれ因果関係は無いということです。
「自分は男性"だから"女性が好きなんだ」というのは「あなたが偶々そうなだけ」ってことですね。
もちろん、トランスジェンダーであっても同様です。
例えばこれもよくある勘違いとして「(元)身体男性で女性自認なら、男性が好きなんだろう」というのがありますが、そう決めつけるのは大きな間違いなのです。
Gender 性別に関する多様性 ‐ 性自認について
性別って男性と女性だけなの?
性自認(Gender identity)とは、先ほど『生まれた際の診断性別とは別に、自身をどの性別と認識するか』と書きました。
よく知られているのは「男性」「女性」ですね。私も性別は女性を自認しています。
しかし、それ以外にも性自認には様々なものがあります。例えば無性、両性、中性、不定性などなど。
(言葉で定義できないものも含めて)これら「男性」「女性」以外の性別をまとめて、日本語圏では「Xジェンダー」と言ったりします。まとめずに「無性」「両性」など細かく自認する人ももちろんいます。*1
じゃあ、トランスジェンダーっていうのは何?
まず、トランスジェンダーとは広義の意味として「生まれた時に診断された性別と性自認(Gender identity)が一致しない人」を指します。この場合、先ほどのXジェンダーもここに含まれます。
トランスジェンダーと聞くと性別適合手術を受けて、戸籍も変更して、性別を移行して…というのを思い浮かべる方もいるかと思いますが、全てのトランスジェンダーがその選択肢を選ぶわけではありません。自認と見た目とそのための行動が一致してなきゃトランスジェンダーじゃないじゃん、なんてことは一切無いので、その選択肢を選ばなかったとしても何らおかしいことは無いのです。
身体的異性の見た目や言動をしなかったらトランスジェンダーじゃないなんてことは無いし、中性的な見た目や言動をしなかったらXジェンダーじゃないなんてことも無いのです。
※もしここまでの記述がさっぱり飲み込めないという方がいたら、自認も選択も(選択をした理由も)見た目や言動も人それぞれ、とまずは思ってみるのが1番かと思います。(これは後述する項目全てにも言えることですが)
ちなみにトランスジェンダーの対義語として、生まれた時の診断性別と性自認(Gender identity)が一致している人を指した「シスジェンダー」という言葉があります。例えば私は生まれた時の診断性別は女性で、性自認は女性なので、「シスジェンダー女性」ということになります。
「シス」と略されることも多いので、ジェンダー系の話で「シス」と出てきたら大体これを指しているはずです。
トランスジェンダーでもシスジェンダーでもない性自認
また、シスジェンダー・トランスジェンダーとは別に、性自認を決めない、もしくは迷ったままにしておく、という人もいます。
もちろんこれらも対等に尊重される1つのあり方です。
この状態を表す言葉に「クエスチョニング」がありますが、言葉として「クエスチョニング」と自認する・しないも個人の自由です。
以下関連記事
●第122回 実は日本独特!?「トランスジェンダーは体の性と心の性の不一致」という“物語”
●4コマ☆Xジェンダー☆
●4コマ☆シスジェンダーとシスヘテロ☆
●4コマ☆クエスチョニング☆
●4コマ☆セクシュアリティ迷子☆
Sexual,Romantic 性愛と恋愛に関する多様性 ‐ 性的指向、恋愛的指向について
性的指向と恋愛的指向って何? 違いはあるの?
性的指向(Sexual orientation)とは、『性的な感情を伴う愛(性愛)がどの人に向くか』ということ、恋愛的指向(Romantic orientation)とは、『恋愛感情がどの人に向くか』ということです。
ほとんどの場合、性的指向は「○○sexual/○○セクシャル」、恋愛的指向は「○○romantic/○○ロマンティック」と表されます。
「性愛感情と恋愛感情って何が違うの?」と思った方もいることでしょう。
別軸として捉えるとは先述しましたが、実際はこの2つが厳密にどう違うのかは個々人の解釈・認識によると言う他ありません。
ハッキリとここからここまでが性的指向(Sexual orientation)、ここからは恋愛的指向(Romantic orientation)、と分けられるもの、そして一般化出来るものでは無いからです。外から見えるものではありませんし、また具体的な数値が出るような物でもありませんので。
しかし、例えば「恋愛的には男性と女性が好きだけど、性愛的には男性のみが好き。性的指向だけで表すには難しい」といったように、性的指向と恋愛的指向が一致せず、そしてそれぞれを分けて表したいという人は少なくありません。そのために、この2つを分けて考えています。
ですが、分ける事によってわざわざ性的な対象を明言するのが恥ずかしい、または、性的指向も恋愛的指向も対象が一致しているので分ける必要を感じない、ということで、分けずに恋愛的指向も含ませて性的指向(○○sexual)だけで表す人もいます。
もちろんまとめて表記・自認することも分けて表記・自認することも個人の自由ですし、どちらを選択しても何も問題ありません。
ゲイやレズビアンは「○○sexual」じゃないけど性的指向なの?
性的指向(Sexual orientation)を表す言葉として現在有名なものは、「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシャル」あたりでしょうか。
この中で「ゲイ」「レズビアン」は先ほど性的指向として表されると書いた「○○sexual」には当てはまりませんね?
結論から言えば、もちろんどちらも性的指向を表す言葉です。
しかし、この2つ、「当人の性自認は男性で、性愛対象が男性」という意味のゲイ、「当人の性自認は女性で、性愛対象が女性」という意味のレズビアンは、性的指向を表す言葉の中では例外的に当人の性自認と性的指向がセットになった言葉です。
また「○○sexual」であっても、「当人とは異なる性自認を性愛対象とする(異性愛)」という意味のヘテロセクシャル、「当人と同じ性自認を性愛対象とする(同性愛)」という意味のホモセクシャル(この場合のホモはラテン語で「同じ」を意味するものです)は同じく例外的ですね。
基本的には、多くの性的指向、そして恋愛的指向を表す言葉には当人の性自認は含まれません。先ほど挙げた3つの中だと「当人の性自認に関わらず、性愛対象は男性と女性」という意味のバイセクシャルがそれに当たります。
ちなみに、ゲイとレズビアンを当人の性自認を含ませず「○○sexual」と表すには、「Masexual/マセクシャル/男性愛」「Womasexual/ウーマセクシャル/女性愛」のような表記が近いかと思います。*2
この言い方だと男性が好きな女性もマセクシャルだし、女性が好きな男性もウーマセクシャルになりますね。当人がXジェンダーであっても使えます。
性的指向と恋愛的指向にはどんな種類があるの?
次に、性的指向・恋愛的指向の種類について紹介します。
大まかな分類をそれぞれフローチャートにしてみました。(なお、これは性的指向・恋愛的指向の一部を表したものです)
最初に、そもそも性的指向/恋愛的指向がどこかに向くのか・向かないのかで分かれます。
次に、性的指向/恋愛的指向がどこかへ向く場合、全ての性に向くのか複数の性へ向くのか、単一の性に向くのか。また、それが女性なのか男性なのかそれ以外の性別なのか、などで分かれます。
手書きで名称が見辛いかと思いますので(すみません…)、補足として上から
性的指向のフローチャート
「Asexual/エイセクシャル」、「Pansexual/パンセクシャル」、「Polysexual/ポリセクシャル」、「Bisexual/バイセクシャル」、「Heterosexual/ヘテロセクシャル」、「Homosexual/ホモセクシャル」、「Lesbian/レズビアン」、「Gay/ゲイ」、「Masexual/マセクシャル」、
「Womasexual/ウーマセクシャル」
恋愛的指向のフローチャート
「Aromantic/エイロマンティック」、「Panromantic/パンロマンティック」、「Polyromantic/ポリロマンティック」、「Biromantic/バイロマンティック」、「Heteroromantic/ヘテロロマンティック」、「Homoromantic/ホモロマンティック」、「Maromantic/マロマンティック」、「Womaromantic/ウーマロマンティック」
です。
性的指向と恋愛的指向が異なる場合、名称を組み合わせて使います。
このフローチャートで言うと、例えば「女性に恋愛感情を抱くけど、性愛感情は誰にも抱かない」ことを表すには、「Womaromantic Asexual/ウーマロマンティック エイセクシャル」と表記します。
なお、組み合わせて使う時は、多くの場合「恋愛的指向・性的指向」という順で表記します。
フローチャートで挙げたもの以外にも、もちろん性的指向も恋愛的指向もまだまだ沢山の種類があります。分けようと思えば(名前を付けようと思えば)いくらでもどこまでも出来るものなので、探せば山のように出てきます。(名前が付くほどにそれに該当する人がいるという事でもあります)
しかし沢山あるからといって、自分に当てはまったものを全て名乗らなくてはいけない、ということではありません。自分が自認してしっくりくるものを選べばいいと思います。
そして性的指向も恋愛的指向も流動的なものですから(生涯変わらない人もいます)、途中で変わったとしてもまたしっくりくるものを選べばいいのです。
それと、これら性的指向・恋愛的指向にも、性自認と同様に「決めたくない、または迷ったままにしておく」という人もいます。もちろんそれも尊重される1つのあり方です。
またこれも同様にその状態を「クエスチョニング」で表すことが出来ます。
以下関連記事
●4コマ☆クエスチョニング☆
●4コマ☆セクシュアリティ迷子☆
●セクシャリティAtoZ
恋愛に関する多様性 ‐パートナーシップの形
同時に交際関係を結ぶのって必ず1人とじゃないの?
現在一般的に知られているのは、誰かと恋愛関係・パートナーシップを結ぶ時は必ず同時期には一対一で、というものですよね。しかし、ここにももちろん多様性は存在します。
その代表例が「ポリアモリー」です。
ポリアモリーとは、ギリシア語で「複数」という意味の「poly」、ラテン語で「愛」という意味の「amor」を組み合わせた言葉です。日本語に置き換えるならば「複数愛」といったところでしょうか。
同時に複数の人と全員合意の下で恋愛関係・パートナーシップを結ぶ状態、またはライフスタイルなどのことを指す、包括的な言葉です。
ポリアモリーについては当事者の方が語る記事のほうが詳しいので、ぜひ関連記事の上2つに目を通してみてください。
「同時に複数の人と付き合うってどういうこと?」「嫉妬とかはしないの?」等々についても、そちらの記事に詳しく書いてあります。(もちろんポリアモリー全てを代表した見解ではなく、インタビューを受けた方の個人的な見解であることはご承知ください)
ちなみに、先ほど述べた「同時に一対一で恋愛関係・パートナーシップを結ぶ」というのはモノアモリー(単一愛)と言います。
それと、ポリアモリーやモノアモリーとは逆に「パートナーシップを結ばない・必要としない状態」として、ノナモリーというものもあります。
以下関連記事
●ポリアモリー実践者たちの証言~複数恋愛というセクシャルマイノリティの純愛は成立するのか?
●不倫でも浮気でもない複数愛 33歳の私が見つけたポリアモリー人生「恋人は2人、でも二股じゃない」
●ポリアモリーとは 注*英語です
●ノナモリーとは 注*英語です
まとめ、オススメ記事・書籍一覧
いかがでしょうか。「なるほど!」と思った方も「用語がたくさんで何が何やら」と思った方もいるかと思います。
前半のほうでも述べましたが、GSRDは範囲が広く複雑で、簡単にまとまるものではありません。性別(Gender)・性愛(Sexual)・恋愛(Romantic)に関する事柄は、「人の数だけある」と言われる程多様なものだからです。上述した量でも表面をさらっと紹介した程度です。
もちろんこの記事だけを読んで全てを理解する、なんてことは不可能ですから、まずGSRDについて知るきっかけとして使っていただければなと思います。
「なにかGSRD(GSRM)って人たちがいるらしい」とどこか遠い誰かの話とするのではなく、そのDiversity(多様性)の中にあなたも既に立っているのだという認識を持っていただけると幸いです。
そしてGSRDに関する言葉とその意味が沢山出てきましたが、全てを事細かに暗記する必要はありません。テストがある訳でもないので(笑)。
ただ、性別に関することにも、性愛に関することにも、恋愛に関することにも多様な違いがある事。更に、そのどれもが『異端』などではなく、対等に尊重されて然るべきあり方なんだ、という事を心に留めておいてください。
大事なのは言葉と定義ではありません。多様性を知る事、多様性を否定しないことです。
これらを含めたあらゆる性的指向は、「お医者さんが診断する名前」ではありません。何も言わなければ異性愛者だということにされてしまう社会で「いないことにされないために名乗る名前」であり、「似ているあり方の人とつながるために名乗る名前」です。
他人から診断されるための名前ではなく、自分から名乗るための名前ですから、診断基準のようなものはありません。
(引用:第111回 400人に聞いて見えてきた! バイセクシュアルとパンセクシュアルの境界線
(もちろんこれは名前の付いたGender(性別)・Sexual(性愛)・Romantic(恋愛)に関する多様性全てに言えることでもあります。)
全部お読みいただきありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ そしてお疲れ様でした。
なんかGSRDについて興味出てきた!って方も、もう既に沢山考えてますって方も、それ以外の方も、よかったら是非是非 猫カフェ・GSRDオフ会にお越しください(宣伝)
個人趣味運営の不定期開催で恐縮ですが、毎回みなさんのことお待ちしております。
オフ会告知Twitterアカウント( @Fumino_off )
最後にGSRD(GSRM)に関連したオススメ書籍、Web記事を載せておきます。書籍は新書からコミックエッセイまで。どれも用語は優しく解説してありますので、入門的にも良いかと思います。
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Web記事
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第1回猫カフェ・GSRDオフ会 〜猫カフェに行こう!〜
こんにちは。猫カフェ・GSRDオフ会主催の文野です。
Twitterアカウントをオフ会主催用に分離させるついでに、オフ会報告ブログを作りました。
猫カフェオフって? GSRDって? 参加したいけどどんな感じか分からない などなど。そんな疑問解消の一助となれば幸いです。
2016.11.7 一部の語句を訂正、加筆修正しました。
簡単に言葉の説明を先にしておきます。
GSRD : Gender, Sexual, and Romantic Diversity。性別、性愛、恋愛に関する多様性。
性別に関する多様性とは、性自認(生まれた時の診断性別とはまた別に、自身をどの性別と認識するか)や、性表現(外見や、装いなど)などの多様性。
性愛に関する多様性とは、性的指向(性感情の伴う愛がどの人(他人)へ向くか)や、その度合い、接触欲求の度合いなどの多様性。
恋愛に関する多様性とは、恋愛的指向(恋愛感情がどの人(他人)へ向くか)や、その度合い、接触欲求の度合いなど、そしてパートナーシップを同時に結ぶ数などの多様性。
ざっくり(ほんとにざっくり)言うとこんな感じです。
(この辺りの話はまた別記事でまとめようと思います)
→2016.11.4「GSRDって何だ? 簡単なまとめとオススメ記事・書籍」
ちなみに文野は恋愛的指向と性的指向がどこにも向かないAromantic Asexualを自認しています。
さて、ここから第1回目のレポートです。
第1回目の開催は2016年2月14日でした。
その時のツイプラはこちら↓
2016年バレンタインデーに猫カフェへ行こう! セクマイオフ会 - TwiPla
それまでオフ会以前に何かを主催したことが無かったので、初めての事にツイプラからもテンパりようが伝わる気がしますね笑
第1回目のタイトルは、「バレンタインデーに猫カフェに行こう!」です。そのままですね。この当時はセクシャルマイノリティ(性的少数者)という言葉の方が自分の観測範囲では主流だったこと、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)という言葉は限定的すぎて好ましく思っていなかったことがあって「セクマイ」という表現を使っています。タグにあるGSRMというのは、MはMinority、つまりGSRDより更にマイノリティに絞った表現です。
この記事を書いている現在で第3回まで終わっていますが、未だ自分の言いたい事ややりたい事に近い表現・言葉を模索中です。
場所は吉祥寺にある『てまりのおうち』という猫カフェ。内装にかなり凝った広い店内のお店でした。
今回は企画初回ということで貸切はせず、オフ会定員8人で席の予約をして行いました。
まずお店の方からの利用の注意を聞いたあと、席で軽く自己紹介をして、そのあとは3時間フリータイムという流れ。
自己紹介の内容は
●名前(もちろんハンドルネーム・Twitterネーム可)
●セクシャリティやジェンダー(任意)
●自由項目(好きなものや近況など)
という本当に軽いものです。
フリータイムではお店の中を自由に移動しながら猫と戯れたり写真を撮ったり、席に戻って喋ったりなどしていました。
今回案内されたのは半個室になっているような席だったんですが、丁度猫たちの通り道だったようでずっと色んな猫が足元やテーブルの上を横切っていました。時々テーブルの上や壁の足場でくつろぐ子がいて、とても癒しでした(*´ω`*)
私は猫の写真を撮るのに夢中で参加者全員と話すということはできなかったんですが(笑)、それくらいゆるく自由にそれぞれ過ごせていたかなと思います。
個々人間でセクシャリティやジェンダーの話をした方もいたかもしれないですが、全員で顔を突き合わせてそういった内容を話し込む、ということはありませんでした。個人的に「セクシャリティやジェンダーの話をしなかったとしても落ち着けたり楽しいオフ会」を目指しているので、目標達成かなという感じです。(もちろんしたい方はどんどんして大丈夫ですし、したくない方は一切しなくて大丈夫です。要は「全員で必ず」ということはしない、といったスタンスです)
ただ、オフ会参加者以外のお客さんも多く利用する場でそういった話がし辛い、という点もあったかとは思います。その点は次回から完全貸切開催とすることで改善しています。
3時間のオフ会で時間が余ってしまうかと不安だったんですが、猫と戯れていると結構あっという間で良かったです。オフ会終盤はTwitterのグループDMを共通アルバム代わりにしてそれぞれ撮った猫の写真を共有したりしました。
オフ会後は、近くに『てまりのおうち』系列の雑貨屋さんがあるとのことで希望者のみでそちらに向かいました。ゆるい二次会のような感じ。雑貨屋さんは猫グッズが多くて楽しかったです。
以上、簡単な第1回SOGIフリー・GSRDオフ会レポートでした。
オフ会告知Twitterアカウント( @Fumino_off )